- 退職後でも傷病手当金がもらえるって本当?
- 金額や支給日数・申請方法に違いはあるの?
- 求職活動をしながら受給できるのか知りたい!
今回は上記のようなお悩みを解決します。
休職を取ったものの、思うように回復せず退職を検討中。収入減少が予想される中「この先も傷病手当金はもらえるのか?」と疑問を抱いている方は多いはずです。
先に結論から言うと、退職後でも傷病手当金はもらえます。ただし条件が設けられており、またいくつか落とし穴もあるので、勢いで退職に踏み切るのは危険です。
今回は「退職後でも傷病手当金がもらえるケース」や「受給する際の注意点」について解説します。退職後に後悔しないためにも、最後までお付き合いください。
退職後でも傷病手当金がもらえるケースとは?
ケガや病気が完治せず退職する際は、現在の傷病手当金が継続して支給されます。
ただし、下記3つ全てを満たしていることが前提条件です。
- 資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が1年以上あること
- 資格喪失時(退職時)に傷病手当金の支給を受けていること
- 退職日以降もケガや病気の療養のため仕事ができないこと
資格喪失時(退職時)に傷病手当金を受給していることが大切です。会社を辞めた後に「病気で働けなくなったから傷病手当金をもらう」ということはできません。
金額や支給期間・支給日においては、在職中と大きな違いはないです。
金額(1日あたり) | (直近12ヶ月の標準報酬月額)÷30日×2/3 |
支給期間 | 支給開始日から最長1年6ヶ月(土日祝も含まれます) |
支給日 | 毎月10日・20日・末日のいずれか |
支給期間には在職中に傷病手当金を受給していた日数も含まれます。在職中に1年間受給していた場合、退職後は最大で6ヶ月間受け取る権利があるという訳です。
ちなみに、退職後に受給した傷病手当金は「非課税所得」に該当します。所得税・住民税などの税金は発生しないため、確定申告をする必要はありません。
傷病手当金の申請方法と書類の書き方
通常、傷病手当金の申請は下記の流れで行います。
- 傷病手当金支給申請書を取り寄せる
- 申請書の「被保険者記入用」の欄に必要事項を記入する
- 医師・人事部に申請書の必要な欄を記入してもらう
- 加入の健康保険に申請書を提出する
在職中は会社の人事部を経由して申請を行うのが一般的ですが、退職後は自分で申請する必要があります。(申請期間に退職日が含まれている場合は会社経由でOK)
加入していた健康保険から「傷病手当金支給申請書」を取り寄せ、必要事項を記入しましょう。事業主記入用は会社が記入する書類なので、こちらは空欄でOKです。
申請書に「療養のため休んだ期間」という欄があるはずですが、こちらは傷病手当金の支給日数になります。「公休日も含めた日数」になるので注意してください。
申請のタイミングは1ヶ月ごとに行うのが一般的ですが、申請の度に「傷病手当金意見書交付料」が300円程かかるため、2~3ヶ月分まとめて行うのもおすすめです。
退職後に傷病手当金を受給する際の注意点
退職後の生活を支えるうえで貴重な収入源となる「傷病手当金」ですが、実は受給にあたりいくつか注意点があります。中でも特に気を付けたいのが下記の3つです。
- 退職日に挨拶回りなどで出勤してはいけない
- 傷病手当金の受給中は求職活動はできない
- 失業手当など他の給付金との併給は不可
退職後も継続して傷病手当金をもらうためには、退職日に「労務不能」であることが条件になります。挨拶回りなどで会社に行くと出勤扱いとなり、条件から外れるため注意しましょう。
また、誤解される方が多いですが「傷病手当金」「失業手当」を同時に受給することはできません。失業手当は「職を探している人」に支給されるお金だからです。
退職後は下記のように何かと出費がかさみます。
【退職後にかかることが予想されるお金】
項目 | 平均生活費 / 月(4人家族の場合) |
家賃(住宅手当なし) | 5~10万円 |
食費 | 約8万円 |
電気・ガス・水道代 | 約3万円 |
通信費 | 約2万円 |
医療費 | 約1万円 |
交通費・自動車維持費 | 約3万円 |
引越し代(借り上げ・社宅だった場合) | 10~20万円 |
国民健康保険料・年金・住民税 | 前年所得の約20% |
もし、借金を背負っている状況であれば「傷病手当金」だけでは限界があるでしょう。生活費を工面するのに手一杯で、返済どころではなくなってしまうはずです。
このような事態を防ぐためには、退職前に「借金救済制度」を利用して、借金を減額・免除できるか調べておくのがおすすめ。もちろん、費用は一切かかりません。
2~3ヶ月程で借金問題を解決できる可能性があるので、精神的にも気楽なはずです。お金の事で悩み続けることがないよう、借金は早めに整理しておきましょう。
※借金以外の相談は受け付けておりません
「借金救済制度の基礎知識」「スマホで簡単に借金がいくら減るのか調べるツール」について知りたい方はこちらをご覧ください。「傷病手当金の支給期間や申請方法とは?事前に知っておきたい落とし穴」
退職後の傷病手当金でよくある質問(FAQ)
ここでは「退職後の傷病手当金」でよくある質問についてお答えします。
1. 傷病手当金をもらい終えたら失業手当は受給できますか?
ケガや病気が治り求職できる状態であれば、失業手当の受給は可能です。ただし、失業手当の受給期間は原則として「退職後1年以内」と定められております。
2. 引越しで病院を変えた場合、どう請求すれば良いですか?
月の途中で転院した場合には、申請用紙が2枚必要になります。申請期間に空白が生じないよう、それぞれの医師に「療養担当者記入用」を書いてもらいましょう。診断名が異なると審査に影響が出るので、紹介状をもらっておくのがおすすめです。
3. 退職後に国民健康保険に入っても傷病手当金はもらえますか?
もらえます。どの公的医療保険に加入しても、傷病手当金の条件を満たしていれば継続して受給可能です。ただし、転職活動を開始した場合は打ち切りになります。
まとめ:退職後でも傷病手当金の受給は可能!
退職後でも下記3つの条件を満たしていれば、傷病手当金は受給し続けられます。
- 資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が1年以上あること
- 資格喪失時(退職時)に傷病手当金の支給を受けていること
- 退職日以降もケガや病気の療養のため仕事ができないこと
在職中とは違い申請は会社経由ではなく、個人申請になるので気を付けましょう。また、退職後に傷病手当金を受給する際は下記3つに注意する必要があります。
- 退職日に挨拶回りなどで出勤してはいけない
- 傷病手当金の受給中は求職活動はできない
- 失業手当など他の給付金との併給は不可
失業手当との併給はできず、収入の減少は避けられません。もし、借金を背負っている状況であれば「借金救済制度」で借金を整理しておくのが良いでしょう。
退職後は何かと忙しいので、退職前に準備を進めておくことが何よりも大切です。